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この第10回記念大会で初めて現在でも使われているFIFAワールドカップトロフィーが、優勝国に手渡された。それ以前のジュールリメ杯は1970年大会でブラジルが3回目の優勝を遂げたためブラジルにて永久に保管されることになり新しいトロフィーが準備された。

今大会の台風の目となったオランダは、”フライング・ダッチマン”ヨハン・クライフを中心に従来のポジションに捉われず目まぐるしく動き回る全員攻撃・全員防御の「トータルフットボール」を披露し、サッカー界に一大センセーションを巻き起こした。

優勝した西ドイツもベッケンバウアーを中心としたリベロ・システムを披露した。
オランダのトータルフットボールが全世界の注目を集めたため、それほど目立たなかったもののディフェンダーが戦術的に攻め上がるというシステムは画期的であった。
西ドイツは円熟の境地を迎えた”皇帝”フランツ・ベッケンバウアーを始めとして”爆撃機”の異名を誇ったFWゲルト・ミュラー、中盤で試合を組み立てた”左足の芸術家”ヴォルフガング・オフェラート、といった今日でも語り継がれるスター選手を揃えていた。