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大会は西ドイツが優勝しこの3度目の優勝と3つの準優勝で、次の大会でブラジルが4度目の優勝を達成するまでワールドカップ史上最高の経歴を誇ることになる。
西ドイツの監督を務めたフランツ・ベッケンバウアーは、マリオ・ザガロに次ぎ選手と監督の両方でワールドカップ優勝を成し遂げた人物となった。東西ドイツ統合直前の西ドイツは、決勝戦で敗退した前の2大会とは違い開幕前からイタリアなどと並ぶ優勝候補の筆頭と目されその前評判に違わぬ強さを見せた。

大会は番狂わせから始まった。大会の初戦で前回優勝国のアルゼンチンがカメルーンに0対1で敗れた。カメルーンは最終的にアフリカ勢として初めて準々決勝まで駒を進め、イングランドに途中まで2対1とリードしながら延長戦の末2対3で逆転負けした。

今大会は注目に値するMFが何人も出現した。コロンビアをスルーパス一本で決勝トーナメント進出に導いたカルロス・バルデラマ、ユーゴスラビアベスト8の立役者となったドラガン・ストイコビッチ、数々のアシストが光ったイングランドのポール・ガスコイン、東欧のマラドーナと呼ばれたルーマニアのゲオルゲ・ハジなどである。